CASE 01マッスル株式会社

マッスル株式会社（以下、単にマッスルと記載します。）と聞いてピンとくる人は少ないと思いますが、上海万博において日本館の壁面をよじ登ったロボットについては、記憶されている方も多いと思います。そのロボット制作の中核をなしたのがマッスルなのであります。
私が、マッスルの玉井社長様とお会いしたのは、マッスルの創業間もないころで従業員の人数は十人程度でした。
特許の重要性は認識しているが、特許事務所に出願を依頼すると、あれやこれやと資料を要求されて本業に支障をきたす、とおっしゃっておられました。
そこで、私のほうから、発明に関するメモ書きと図面だけで明細書の草案を作成しますので、それを基にして特許出願書類の作成をしましょう、との提案をいたしました。 玉井社長様は大変お悦びになり、以後、玉井社長様と二人三脚で特許取得に精をだしてきました。
取得した特許権のおかげで、マッスルの業績は急上昇し、今では従業員の数も六十名を超えるまでに成長しました。
上海万博において日本館の壁面をよじ登ったロボットに興味を持たれたのか、時の総理大臣である安倍晋三首相がマッスルを訪問され、イノベーションのお手本だと称賛されたとのことです。
第二、第三のマッスルを目指しましょう。

特許を事業に生かして成功した事例

垂直方向に移動可能な人型ロボットを世界初開発「夢ROBO」

2010年上海万国博 日本産業館の正面壁面を昇降するロボット製作の依頼を請け、関西14社の協力の下、3ヶ月後には展示。
半年間屋外で稼働を続け、集客に大貢献。日本産業館からは最新技術賞を受賞、上海の万博記念館に永久展示物としてコレクションされている。
特許第3058406号…この発明は、モータの回転量を測定する装置、いわゆるエンコーダーに関するもので、モータの軸の後端部に歯車を設けるとともに、この歯車に対向させて磁気ユニットを設け、モータの回転に伴い磁気ユニットに生ずる磁力の変化によりモータの回転量を測定する装置である。
歯車は、大量生産されておりコストも安く、また磁気ユニットも低コストで入手できるので、測定精度を維持しながらエンコーダーのコストが低減されます。この特許発明は、工業用ミシンの制御性能を格段に向上させました。
この特許発明により、マッスル株式会社は急成長をなし遂げ、自社ビルを持つことができました。
マッスル株式会社は、知らない方も多いでしょうが、上海万博で公開された壁を登るロボットについては、記憶されている方も多いでしょう。そのロボットの制御装置を担当したのがマッスル株式会社であります。
余談ですが、そのロボットおよび頭については、意匠出願を弊所にて行いました。

マッスルの名の由来…玉井社長様の話では、筋肉のようなしなやかな動きをするロボットを作りたいという夢があり、その夢の実現のため脱サラをして会社を興した、とのことでした。
知的創造の成果を、特許権や意匠権などの目に見える形にし、喜びをともにしましょう。